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2025/5/8

ChatGPTで1on1面談の事前準備と振り返りを効率化する方法 

      はじめに ── なぜ今、1on1とAIなのか

      「1on1をやるべきだとわかっているけど、なかなかうまくいかない…」

      こんな悩みを抱える人事担当者やマネジャーは少なくないのではないでしょうか。

      リクルートマネジメントソリューションズの調査によると、約7割の企業が1on1を導入していますが、現場からは「何を話せばいいかわからない」「特に話すことがない」といった本音があることが報告されています。

      多くの企業が1on1の重要性を理解しながらも実践レベルで苦戦しているのは、以下のような理由が考えられます。

      • マネジャー1人あたりの部下の数が多く、個別対応の時間を捻出するのが困難

      • マネジャー自身が1on1の経験が少なく、効果的な対話の方法がわからない

      • 日々の業務に追われ、深い対話よりも短期的な業務連絡で終わってしまう

      • 対話の記録やフォローアップが継続されず、単発の会話で終わってしまう

      このような課題に対して、生成AIの活用は大きな可能性を持っています。無料でも活用いただけるChatGPTを活用することで、1on1の準備から実施、振り返りまでをサポートしてくれます。

      本記事では、ChatGPTを活用して1on1の効果を高める具体的な方法をご紹介します。

      1on1が機能しない3つの課題とは?

      世界的に見ても効果が実証されている1on1ミーティングですが、日本企業では「導入したものの効果が出ない」というケースが数多く見られます。

      この章では具体的にどのようなケースで1on1がうまくいかないのかの具体的な課題をご紹介します。

      準備時間の不足 ── 「忙しさ」が質の高い対話を阻害する

      多忙なマネジャーにとって、1on1の事前準備に時間を割くことは容易ではありません。「今日は何を話そうか」と考える余裕がないまま面談に臨み、結果として「先週の業務報告と今週の予定確認」だけで終わってしまう。これでは通常の業務ミーティングと変わらず、1on1本来の目的である「信頼関係の構築」や「成長支援」は達成できません。

      対話の質のばらつき ── マネジャーのスキル差が成果を左右する

      1on1の効果は、マネジャーの対話スキルに大きく依存します。「何を聞けばいいかわからない」「深掘りの質問ができない」「難しい話題を避けてしまう」といった課題を抱えるマネジャーも多く、結果として部署や上司によって1on1の質に大きな差が生じています。

      フォローアップの仕組みが作れていない ── 「言いっぱなし・聞きっぱなし」で終わってしまう

      1on1で話し合った内容が記録されず、次回に活かされないというケースも少なくありません。「前回話したことを覚えていない」「アクションプランが実行されない」「長期的な成長につながらない」といった状況が生まれ、1on1自体が形骸化してしまいます。


      これらの課題を解決するためには、AIを「より良い人間同士の対話を支援するツール」として活用することが重要です。

      次の章では、具体的にChatGPTを活用しながらこれらの課題に対応する方法をプロンプト例を交えながらご紹介していきます。

      ChatGPTを活用した1on1の事前準備手法

      1on1の成否を大きく左右するのが事前準備です。しかしながら、多忙なマネジャーにとって、一人ひとりの部下に合わせた丁寧な準備をすることは容易ではありません。ここではChatGPTを活用することで、準備の質を落とすことなく効率化を図る方法をご紹介します。

      ただし、個人情報の取り扱いには十分な注意が必要です。氏名など個人を特定できる情報は避け、一般化した形で入力することも重要です。

      プロンプト例1 : 後輩社員に合わせた質問リストの作成

      例えば、新人や若手社員との1on1では、適切な質問で相手の考えを引き出すことが重要です。ChatGPTを使って、後輩に合った質問リストを簡単に作成できます。

      私はエンジニア部門のチームリーダーです。以下の特徴を持つ後輩との1on1ミーティングで使える質問リストを5つ作成してください。

      - 職種:バックエンドエンジニア
      - 経験:入社2年目
      - 強み:コードの品質へのこだわり、自己学習への意欲
      - 課題:締切プレッシャーへの対応、チーム内でのコミュニケーション
      - 最近取り組んでいること:新機能開発、テスト自動化の改善
      - 前回の1on1での話題:業務の優先順位付けの難しさ、キャリアの方向性への迷い
      - 本人の興味:新技術への関心、効率的な開発プロセス

      質問は単なる業務確認ではなく、成長支援や信頼関係構築につながるものにしてください。実際の会話の流れをイメージできるよう、質問の意図も添えてください。

      このプロンプトでは、特定の個人名を使わず、職種や経験年数などの情報だけを提供しています。これだけでもChatGPTは文脈を理解し、的確な質問を提案してくれます。

      プロンプト例2 : 継続的な成長を支援するための振り返り分析

      継続的な1on1を通じて後輩の成長を促すには、過去の会話を踏まえた対話が効果的です。以下のプロンプトで、過去の1on1記録から成長の軌跡を分析し、次回の対話テーマを準備しましょう。

      私のチームの若手メンバーとの過去3回の1on1記録をもとに、成長の軌跡と次回の対話テーマを提案してください。

      3ヶ月前の1on1記録
      - 新しい開発ツールの使い方に不安を感じている
      - チーム内での発言に自信がなく、意見を伝えることをためらっている
      - 行動目標:週1回のチームミーティングで最低1回は発言する

      1ヶ月前の1on1記録
      - 開発ツールの基本操作には慣れてきたが、応用部分でまだ苦戦している
      - チームミーティングでは発言できるようになったが、自分のアイデアに自信がない
      - 行動目標:小さな機能改善を1つ提案し、実装してみる

      先週の1on1記録
      - 自分が提案した機能改善が好評で、モチベーションが上がっている
      - 技術力向上のために何を学ぶべきか悩んでいる
      - 行動目標:キャリアの方向性を考えるために先輩社員に話を聞いてみる

      次回の1on1では、この成長軌跡を踏まえて、どのようなテーマを扱い、どのような質問をすべきでしょうか?また、どんな成長機会を提供できるでしょうか?

      このプロンプトでは、具体的な成長の過程を時系列で示しています。こうすることで、ChatGPTは文脈を理解して、次のステップに最適な提案をしてくれます。

      プロンプト例3 : コミュニケーションスタイルに合わせた対話準備

      後輩一人ひとりのコミュニケーションスタイルは異なります。同じ質問でも、相手のスタイルに合わせた聞き方をすることで、より充実した対話が実現します。

      異なるコミュニケーションスタイルを持つ後輩との1on1の進め方をアドバイスしてください。

      タイプ1: 内向的で考えてから話すタイプ。データや事実に基づいた議論を好む。質問されてもすぐに答えられないことがある。
      タイプ2: 外向的で話しながら考えるタイプ。アイデアを自由に発想するのが得意で、細部より全体像を重視する。
      タイプ3: 人間関係を重視するタイプ。チームの雰囲気や人との協力を大切にし、対立を避ける傾向がある。

      それぞれのタイプに対して、以下の点をアドバイスしてください:
      1. 1on1の時間・場所の設定方法
      2. 会話の始め方の具体例
      3. 効果的な質問の具体例(同じテーマでもタイプによる聞き方の違い)
      4. 避けるべき対話パターン
      5. フィードバックの効果的な伝え方

      具体的な会話例も含めて提案してください。

      このプロンプトを使うことで、後輩のタイプに合わせた対話のアプローチを学ぶことができます。実際の対話シーンをイメージしやすく、すぐに実践できる内容になります。

      1on1準備のためのより実践的な活用法

      実際の1on1準備では、以下のような流れでChatGPTを活用すると効果的です。

      1. 事前情報の整理:後輩の状況(業務内容、強み・課題、前回の1on1内容など)を箇条書きでまとめる

      2.  ChatGPTへの入力:個人を特定する情報を除いた形でプロンプトを作成

      3. 質問リストの生成:後輩の状況に合わせた質問やテーマの提案をもらう

      4. 内容の精査:生成された内容から自分の考えや状況に合うものを選択・編集

      5. 1on1の実施:準備した質問をもとに対話を進める

      このプロセスを繰り返すことで、1on1の質が向上するだけでなく、自分自身の対話スキルも磨かれていきます。ChatGPTはあくまでサポート役であり、実際の対話の質を高めるのは人間同士の信頼関係です。


      次章では、実際の1on1後の振り返りやフォローアップでChatGPTをどのように活用できるのか、具体的な方法を解説します。

      1on1後の振り返りとフォローアップをAIで効率化

      1on1が終わった後の振り返りとフォローアップは、継続的な成長と信頼関係構築のために非常に重要です。しかし、多くの企業では「会話はしたものの、その後の対応が不十分」という課題を抱えています。そこでChatGPTを活用することで、1on1後のプロセスを効率化しながら質を高める方法をご紹介します。

      プロンプト例5 : 1on1の会話記録から重要ポイントを抽出し要約

      1on1後に詳細なメモや会話記録があっても、次回までに重要なポイントを整理しておかないと、フォローアップが難しくなります。ChatGPTを使って会話の要点を抽出し、構造化された要約を作成しましょう。

      以下は今日行った1on1の会話メモです。この内容から重要なポイントを抽出し、構造化された要約を作成してください。特に、メンバーの懸念点、成長の機会、強み、次回までのアクションアイテムを明確にしてください。
      会話メモ:
      「最近の業務状況について聞いたところ、新しいプロジェクトに意欲的に取り組んでいるが、一部の技術的な課題で行き詰まることがあるとのこと。特にデータベースの最適化については自信がないと話していた。一方で、フロントエンドの実装は予定より早く完了し、他のメンバーからも評価されていると嬉しそうに話していた。

      キャリアについては、将来的にはリードエンジニアを目指したいが、まだマネジメントスキルに不安があると話していた。特にタスクの優先順位付けや工数見積りが難しいと感じているようだ。

      チーム内のコミュニケーションについては、リモートワークでの情報共有が時々不足していると感じており、もっと定期的な進捗共有の場があるといいのではと提案してくれた。

      次回までに、データベース最適化のオンラインコースを紹介すること、週次の進捗共有ミーティングの試験的導入を検討することを約束した。また、メンバー自身は小規模なチームタスクのリード役を試してみることになった。」

      要約は、次回の1on1の準備資料として使用できるよう、簡潔かつ行動につながる形でお願いします。

      このプロンプトを使うことで、長い会話メモから重要なポイントだけを抽出し、構造化された形で整理できます。これにより、次回の1on1に向けた準備が格段に効率化されます。

      プロンプト例6 : 次回までのアクションプランと確認事項の自動生成

      1on1で話し合った内容を確実に実行に移すためには、具体的なアクションプランの策定が欠かせません。しかし、忙しい日常の中でアクションプランを整理するのは容易ではありません。ChatGPTを活用して、会話内容からアクションプランを自動生成しましょう。

      先ほどの1on1要約をもとに、以下の内容を含むフォローアップ計画を作成してください

      1. 上司(私)のアクションアイテム:具体的なタスク、期限、どのように実行するか
      2. メンバーのアクションアイテム:明確な目標、達成方法の提案、期限
      3. 共有リソース:役立つ可能性のある資料、ツール、研修などの提案
      4. 次回1on1までの中間チェックポイント:進捗確認のタイミングと方法
      5. 次回1on1での確認事項:フォローアップすべき重要な話題

      フォローアップ計画は実用的かつ具体的な内容にし、メンバーに送れる形式で作成してください。過度な負担にならないよう、重要度の高いアイテムに焦点を当ててください。

      まとめ ── 「人間らしい対話」と「AIの効率化」の最適なバランス

      本記事では、ChatGPTを活用した1on1面談の効率化と質の向上について解説しました。重要なのは、AIはあくまで対話の「代替」ではなく「支援」ツールであるという点です。

      準備や振り返りといった時間のかかる作業をAIに任せることで、マネジャーは本質的な「人間らしい対話」に集中できるようになります。継続的な対話サイクルを実現するため、準備、実施、振り返り、フォローアップの各フェーズでChatGPTを活用することで、1on1が形骸化せず、メンバーの成長と組織のエンゲージメント向上につながります。

      早速、次回1on1の準備にChatGPTを活用してみてはいかがでしょうか。 


      この記事を書いた人

      #AI活用人事 八百(やお)

      2020年に新卒で株式会社フィードフォースにデータサイエンティストとして入社。自社プロダクトの成果改善のための分析業務に従事。その後、生成AIを活用した新規事業開発に携わるようになり、現在はAIを活用した求人原稿作成サービス「求人IQ」の開発を実施している。​