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2025/5/30

世界で広がる「AIコーチング」サービス3選 ── 1on1を超えた新しい人材育成の形

      従業員の成長支援は、企業の競争力を左右する重要な要素ですが、「一人ひとりに合った育成プログラムを提供する」ことは、想像以上に難しいものです。マネージャーの時間的制約、コーチングスキルのばらつき、そして何より、従業員それぞれの学習スタイルや成長速度の違い――。これらの要因が重なり、一般的な研修や形式的な1on1面談で終わってしまうケースも少なくありません。

      一方で、「じゃあ外部コーチを雇おう!」と思っても、コストや調整の手間を考えると、全従業員に提供するのは現実的ではないと感じる方もいるのではないでしょうか。

      そこで注目されているのが、AIを活用した「パーソナライズドコーチング」です。24時間365日利用可能で、個人の特性や成長段階に合わせたアドバイスを提供し、しかも利用データから継続的に学習して精度を高めていく――そんな新しい人材育成の形が、世界中の企業で広がり始めています。

      本記事では、世界の最先端を行くAIコーチングサービス3選を紹介し、それぞれがどのような革新的なアプローチで人材育成を行なっているのか探っていきます。

      BetterUp ── 世界最大のコーチングデータで進化し続けるAI

      2013年からAIを活用してきたBetterUpは、4,000人以上の認定コーチと数百万のセッションデータを基に、従業員一人ひとりに最適化されたコーチング体験を提供しています。

      BetterUp

      AIが従業員の感情変化を読み取る次世代コーチング

      BetterUpのAIプラットフォームは、従業員のニーズを予測し、最適なタイミングでサポートを提供します。AIが従業員の強みと成長領域を特定し、リソースをより効率的に集中させ、感情分析を通じて従業員の感情や意識の変化を予測し、離職リスクなどを事前に察知します。

      さらに、89%の精度で従業員と最適なコーチをマッチングし、パーソナライズされた評価と学習体験を提供しています。

      業務ツールと統合されたリアルタイムコーチング

      AIコーチングには、困難な会話の練習、リアルタイムでの問題解決、役割特化型コーチング、リーダーシップスキル開発などの機能が含まれています。2023年にはMicrosoft TeamsやWorkdayに生成AIを統合し、組織変革を支援しています。人間のコーチとAIが連携することで、対面セッションの間も継続的なサポートを実現しています。

      2024年にはAIコーチング企業のPracticaとHeydayを買収し、スキルベース学習とコーチ支援機能を統合。10年以上のAI活用実績と世界最大級のコーチングデータセットを武器に、「予測」「介入」「成果測定」のサイクルを自動化しています。

      公式サイト:https://www.betterup.com/

      Valence ── あなたの会社専用にカスタマイズされるAIコーチ「Nadia」

      Valenceは、従来のコーチングコストのわずか2%で、全マネージャーに24時間365日のパーソナライズドコーチングを提供する革新的なプラットフォームです。

      Valence

      使うほど賢くなるAIコーチ「Nadia」の学習型パーソナライズ

      Nadiaの最大の特徴は、独自の技術により、各ユーザーの働き方や思考パターンを深く理解し、使えば使うほど賢くなっていく点です。単なるQ&A型のチャットボットではなく、ロールプレイング形式での会話練習、パフォーマンスの振り返り、新しいスキルの習得支援、さらには仕事の不満を聞いてくれる相談相手としても機能します。

      企業文化に溶け込むカスタマイズ性

      Nadiaは研究に基づいたコーチングフレームワークで訓練されているだけでなく、導入企業のプロセス、文化、価値観を学習し、その企業ならではのアドバイスを提供します。

      試験利用者の98%が継続利用を希望し、91%が実際にNadiaのアドバイスを実践。週に1回以上利用するユーザーが75%に達し、高い満足度を実現しています。

      公式サイト:https://www.valence.co/

      CoachHub ── 行動科学と6年の研究開発が生んだAIコーチ「AIMY」

      CoachHubは、3,500人以上の認定コーチによる人間のコーチングとAIを融合させ、世界1,000社以上で導入されているデジタルコーチングプラットフォームです。その中核となるAIコーチ「AIMY」は、単なるAIアシスタントを超えた本格的なコーチング体験を提供します。

      CoachHub

      本物のコーチと対話している感覚を得られる「AIMY」

      6年にわたる研究開発と国際コーチング連盟(ICF)の専門家による検証を経て開発されたAIMYは、最先端の行動科学に基づいて従業員の長期的な成長と変革を実現することができます。受講者は自分好みの声、性別、性格、言語を選択でき、まるで本物のコーチと対話しているような体験を得られます。状況に応じたコーチング、目標指向型アプローチ、ロールプレイング技法を駆使し、短期的な課題解決から長期的なキャリア開発まで幅広くサポートします。

      企業特化型カスタマイゼーション

      AIMYの最大の強みは、導入企業のニーズ、学習目標、重点分野に合わせて完全にカスタマイズできる点です。自己評価と進捗管理機能により、従業員が組織目標に沿いながら自律的に成長できる環境を構築します。

      公式サイト:https://www.coachhub.com/ja/

      まとめ ── AIコーチングが切り開く人材育成の新時代

      今回ご紹介した3つのAIコーチングサービスは、それぞれ異なるアプローチで「1on1を超えた新しい人材育成」を実現しています。

      これらのサービスに共通するのは、AIを「人間のコーチの代替」ではなく「人間の能力を拡張するパートナー」として位置づけている点です。24時間365日の可用性、データに基づく客観的な分析、そして何より一人ひとりに最適化されたパーソナライゼーション――これらはAIだからこそ実現できる価値です。

      日本企業においても、マネージャーの時間的制約や育成スキルのばらつきといった課題は共通です。世界の最先端企業が実証しているように、AIコーチングは単なる効率化ツールではなく、組織全体の成長マインドセットを醸成し、測定可能な成果を生み出す戦略的投資となりつつあります。

      人材育成の未来は、もはや年に数回の研修や形式的な1on1面談だけでは語れません。AIと人間が協働し、従業員一人ひとりの可能性を最大限に引き出す――そんな新しい時代が、すでに始まっています。

      この記事を書いた人

      #AI活用人事 八百(やお)

      2020年に新卒で株式会社フィードフォースにデータサイエンティストとして入社。自社プロダクトの成果改善のための分析業務に従事。その後、生成AIを活用した新規事業開発に携わるようになり、現在はAIを活用した求人原稿作成サービス「求人IQ」の開発を実施している。​