
「社員エンゲージメント調査の自由記述 2,000 行。来週の経営会議までに要点をまとめてください」――人事の皆さんなら、こんな業務に頭を抱えた経験があるのではないでしょうか。定量質問は Excel で集計すれば済むものの、社員が本音を綴る自由回答は、読むだけで何時間もかかります。結果として、多くの情報に埋もれた組織改善ヒントを取りこぼしてしまう可能性があります。
そこで注目したいのが 生成AIによる文章分析 です。ChatGPT などに適切なプロンプトを渡すだけで、数千件の自由回答を数分で仕分けし、感情の傾向やトレンドを一覧化できます。しかも今回ご紹介する「コピペで使えるプロンプトテンプレート」を使えば、専門知識がなくても明日から導入可能です。
本記事では、
自由回答を生成AIで整理する準備とワークフロー
そのまま使えるプロンプトテンプレートと設定例
を、実務に即した手順で解説します。データ整備や難しいツール選びに時間を割けない中小企業の人事担当者でも、今日から始められる現実的な方法をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。
自由回答を生成AIで整理する準備とワークフロー
現場の声は会社の勢いを測ることができる重要な指標
自由回答は、数値化された満足度スコアや出勤率では拾い切れない「組織の温度」を映し出します。回答をざっと読んでみると、歓喜の声と不満の嘆きが隣り合い、部署ごとに濃淡があることに気付くはずです。
生成AIに整理を任せれば、その濃淡が部署やトピックごとにどう移ろうの かを素早く捉えられます。単なる“声の山”が、全社のモメンタムを計る指標へと変わり、人事は限られたリソースをどこに割くべきかを判断しやすくなります。
準備から抽出まで──テキストをAIに投げるだけ
まず、アンケートの自由回答欄をすべてコピーし、一つのテキストファイルに貼り付けます。回答と回答のあいだは改行だけで区切れば十分です。
行頭に部署名などを残しておくと、あとで部門ごとの傾向を追いやすくなります。
ファイルができたら、生成AIのチャット欄に次のようなひとことを添えて投入します。
「以下の自由回答から、よく出る話題を三つ挙げ、それぞれを前向きか後ろ向きかで評価し、最近増えたキーワードを示してください。」
AI が返す整理結果は文章でも表形式でも読みやすい形で示されるので、そのままスプレッドシートに貼り付けて集計できます。ここまでの作業はコピペだけで完了し、スクリプトも特別な前処理も不要です。
結果の読み取りと次の一手
生成AIが抽出した頻出テーマと温度感を眺めると、たとえば「評価制度」「働き方」「マネジメント」が並び、そのうち「働き方」だけが急速にネガティブへ傾いている、といった変化が見えてきます。
人事はこの温度差を経営会議の論点に据え、「なぜ今ここが沈んだのか」「どの部署に波及しているのか」を掘り下げます。こうして得た気づきを施策やフォロー面談につなげることで、全社の勢いを落とさず、離職の前兆を早めに手当てできるようになります。
プロンプトテンプレート──すぐに使える三つの例
以下では、自由回答をコピー&ペーストするだけで組織全体の流れをつかめるプロンプトを三つ紹介します。どれも ChatGPT のチャット欄に貼るだけで動きますので、スクリプトや追加ツールは不要です。テンプレートはそのままでも使えますが、〈〉で囲った語句を自社の事情に合わせて差し替えると、より解像度の高い結果が得られます。
1. 話題&温度感のスナップショット
全体像を一枚で把握したいときの最短ルートです。
この出力だけで、たとえば「評価制度」「働き方」「マネジメント」のうち、どこがネガティブに振れているかが直感的にわかります。
2. 変化の兆しをあぶり出す比較テンプレート
前回調査からの揺れ幅を把握したいときに使います。
増減の視点を足すことで、「リモート環境」「新人育成」などのテーマが急浮上している場合にすぐ気付けます。
3. 部署別に沈み込みをチェックする深掘りテンプレート
原文の前に「[営業]」「[開発]」のように部署タグを付けておくと、同じプロンプトでも部門単位の温度感が取れます。
タグは角括弧でも丸括弧でも構いませんが、形式をそろえておくと AI の解析精度が上がります。
これらのテンプレートを回すだけで、社員の声から「今いちばん熱いテーマ」「どこが沈みつつあるか」「次に何を掘り下げればいいか」が短時間で見えてきます。得られた示唆をもとに、フォロー面談や制度改善の優先順位を組み立ててみてください。
まとめ
社員の自由回答には、数字だけでは捉えきれない組織の特徴や特性が潜んでいます。本記事では、その声を一つのテキストにまとめて生成AIに投げかけ、全社のモメンタムを短時間で把握する手順を紹介しました。
準備はコピー&ペーストで済み、抽出は「話題」「温度感」「変化」の三つを頼むだけ。得られた結果を見れば、どのテーマが勢いづき、どこに陰りがあるのかがすぐに浮かび上がります。さらに、提示したプロンプトテンプレートを使えば、現状スナップショット、前回との比較、部署別の深掘りまで同じ作業フローで実現できます。自由回答の山を可視化し、議論の焦点を定めることで、人事は限られたリソースを効果的に配分し、離職の芽を早めにつぶすことができます。
次のアンケート集計から、ぜひこのシンプルなAIワークフローを試してみてください。
この記事を書いた人

#AI活用人事 八百(やお)
2020年に新卒で株式会社フィードフォースにデータサイエンティストとして入社。自社プロダクトの成果改善のための分析業務に従事。その後、生成AIを活用した新規事業開発に携わるようになり、現在はAIを活用した求人原稿作成サービス「求人IQ」の開発を実施している。












