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2025/8/22

未来の働き方と人材のハイプ・サイクル:2025年とAI活用人事を考える

      ガートナーが「日本における未来の働き方と人材のハイプ・サイクル:2025年」を発表

      2025年8月19日に発表されたハイプ・サイクルは、働き方を「ワークプレース基盤の近代化」「人と組織・育成」「新しい働き方を支える領域」「DX関連の新興技術」という4つの観点で捉え、計33のトピックを地図化しています。

      今年の特徴は、AIが個別機能ではなく業務の前後へと広く組み込まれていることです。具体的には、AI PCや音声認識による議事録作成、日常型AI、AIエージェント、ノーコードのエージェントビルダーといった項目が並びます。これらは「点」の効率化ではなく、会議から記録、起票、承認、ナレッジ反映までの一連の流れを対象にする発想へ舵を切らせます。なお、8月27–28日にはデジタル・ワークプレース・サミットが予定されており、発表内容の背景と運用論が解説されます。

      出典・参考:Gartner、「日本における未来の働き方と人材のハイプ・サイクル:2025年」を発表

      今年の焦点は「業務の面展開」「社内市場の常時化」「学習の埋め込み」に集約できる

      今年を見るべき焦点は3つに絞ることができます。最初に、生成AIの導入を単発の自動化で終わらせず、会議→記録→タスク化→承認→配信→ナレッジ更新という「面」でつなぐことです。次に、スキル可視化と社内人材マーケットプレースを常時稼働させ、配置・異動・社内副業を日々マッチングする「社内市場」を運用することです。最後に、学習をイベントではなく業務で使う画面の中へ埋め込み、AIリテラシーやアジャイル・ラーニングのログを人材データに自動接続することです。いずれも、ハイプ・サイクルが示す「AIの組み込み拡大」と「人材・育成トレンドの重要度上昇」を実務に落とした解釈です。

      着手の順番を決めて短期の成果と中期の基盤整備を両立させる

      導入は、最初に「連結点」から始めると進みやすくなります。たとえば、議事録からタスク化までの手続きが多いなら、そこをエージェントで自動化し、処理のリードタイムや再作業率、ナレッジ再利用率をKPIに据えます。次に、スキル・職務・学習の語彙を統一し、評価や配置と矛盾しない分類を整理します。最後に、1on1や面接、目標管理など日常の画面に学習のための細かな教材やプロンプトの雛形を常設し、「学習→実務→評価」の円環を閉じます。この3段構えで進めると、短期的な改善と、中期の運用基盤づくりを同時に回すことができます。

      参考記事:
      AIスキルの評価方法:あなたの会社でも始められる「人事評価 × AI活用」ガイド
      生成AI時代に再定義されるマネジャー像──人事部門が今すぐ押さえるべき5つのポイント

      「#AI活用人事ブログ」とハイプ・サイクルの示唆を対応づけて理解を深める

      当ブログで書いてきたこれまでの記事を、ハイプ・サイクルのチャートに重ねることで、実装に向けて解像度を上げてもらえたらうれしいと思っています。

      労働時間が長期的に縮小する前提で業務を再設計する論点は、「『雇う』から『活かす』へ」で詳しく扱いました。ここでは、業務連結の自動化と潜在労働力の活躍設計を整理しています。評価と配置の透明性をデータで支えるテーマは、「人事評価×AI活用ガイド」で、根拠データと期待行動を結ぶ手順を提示しました。若手の定着に関する示唆は、「若手の離職を防ぐ」で、オンボーディング、1on1、兆候検知をつなぐ運用を提案しています。復職支援は、事実ログと合意形成を軸にした記事で扱いました。

      他にも、職務・スキル・学習をつなぐ採用前教育やスキルベース採用、面接プロセスの効率化、ES調査の自由記述の高速可視化、スキルマッチングの実装像など、各論に踏み込んだ記事も参考にしてもらえると思います。

      参考記事:
      AI活用人事が埋める事務職の“人手過多” ── 世界の「スキル・マッチング」サービス5選
      もう書類選考に追われない!AIを活用した新しい履歴書スクリーニング方法をご紹介
      返信ゼロを脱却!候補者データ×生成AIで “パーソナライズ” スカウト文作成術
      「隠しごとのない人事部」を実現する── 透明性を高めるAI活用人事ツール5選

      ハイプ・サイクルの「幻滅の谷」を“可視性・整合性・説明性・内製余地・倫理”で先回りする

      ハイプ・サイクルの「幻滅期」で挙げられることが多い技術・サービスは、導入後に運用が形骸化してしまっていることが多いです。まず、どの業務をどれだけ短縮し、どのくらい手戻りが減ったかを指標で見える化しておくと、価値や投資の解像度が保てます。

      次に、スキル定義・職務定義・学習ログの語彙を一本化し、評価や配置との整合を崩さないことが重要です。推奨やサマリの根拠を追えるログは、導入した現場の納得感を左右します。プロンプトやワークフロー、評価指標を人事側で改善できる方法を持っていることも、長期の成功を分けます。最後に、個人データの最小化やバイアスの監視、継続的なAIリテラシー教育をシステムに組み込むと、運用の安定度が上がります。これらはハイプ・サイクルが示す「AIの組み込み拡大」を持続可能にするための取り組みです。

      人事のAI活用にも「幻滅の谷」がやってくることを前提にして前進する

      本記事では2025年版ハイプ・サイクルを、AIを活用する人事が道標として活用するイメージでまとめました。これまで本ブログで書いてきたように、人手不足が進む中で「働くを豊かにする」ためにAI活用が必須となってきます。しかし、ハイプ・サイクルが示すように導入前後の「過度な期待」の次に「幻滅期」がやってくることがほとんどです。「幻滅の谷」を超えて、組織の生産性を持続可能な形で安定・向上させるために、ハイプ・サイクルとこれまでと、これからの「#AI活用人事ブログ」を活用してもらえたらうれしいです。

      この記事を書いた人

      #AI活用人事 舟久保(ふなくぼ)

      総合マーケティング会社で23年間、NBメーカーの商品開発・販促企画のアイディア創出のための調査から、クチコミマーケティングの企画・施策実行までの支援を行う。新しいモノが買われなくなるレコノミーの時代の到来を実感し、フィードフォースに加入。ID統合とCDPを活用した人間中心のマーケティングのためのSDL構築と、生活者と企業の新しい生態系「IDeconomics」の実現を目指す。加えて、人事・採用のリスキリングにも挑戦中。