
製造・建設は人手不足なのに、事務職は17万人も供給過多
人手不足が深刻となる日本において、働き手を増やすことに加えて大切なのは、求人と求職者のミスマッチを埋めることなのではないか。リクルートワークス研究所の調査結果をベースに書かれた日経新聞の記事「増えた大卒、職とミスマッチ 事務希望17万人余る 人手不足の現場は敬遠」では、以下のような事実と提言が書かれていました。
製造や建設業では人手不足が深刻化しているが、事務職は求職者が求人を大幅に上回っている。
過去30年で高卒就職者は7割減少し、大卒就職者は4割増加している。
職業選択においてホワイトカラー職への偏重が見られ、製造業や建設業は敬遠される傾向がある。
労働需給のミスマッチは日本だけでなく、韓国やドイツなど他国でも問題となっている。
構造的な人手不足の改善には価値観の変化が必要とされている。
これからの人事・採用担当には、こうしたミスマッチを解消するサジェスト力やコンサルティング力が必要になりそうです。北米を中心に働く人の「潜在スキル」や「隣接スキル」を掘り起こすスキルマッチングのAIサービスが生まれて、活用が進んでいます。今回は代表的な5サービスをピックアップして、そのアウトラインを解説します。
AI時代のスキル・マッチング ── 海外最新サービス5選
Eightfold AI【米国】─ タレントインテリジェンス・プラットフォーム

できること
世界155か国・24言語の人材データを深層学習で解析。候補者・社員それぞれの「潜在スキル」を推定し、類似・隣接スキルで職務をリコメンドすることができる。
活用イメージ
候補者が「事務経験しかない」と思い込んでいても、類似スキルを基に製造ラインの管理職候補などを提示できる。ニューヨーク州の公共就労サイトでも採用されている。
参照元:オフィシャルサイト
SkyHive【カナダ】─ 世界の仕事とスキルをリアルタイムに学習

できること
「ダイナミック ジョブ& スキル タクソノミー」がリアルタイムに仕事とスキルの変化をストリーミングし、仕事と技術の需給マップが作成できる。
活用イメージ
需給マップを参考にして、必要な仕事と技術を埋めるために配置転換やリスキリングの実施を意思決定できる。カナダ政府案件では製造ライン要員を6週間で再育成し、教育・開発コストを72%削減した事例がある。
参照元:オフィシャルサイト
retrain.ai【イスラエル】─ スキルギャップをヒートマップ化

できること
800万件以上の求人・職歴データを解析。社内外の人材を“スキルDNA”で4象限に分類し、ギャップをヒートマップ化。社内公募・学習コンテンツと連動する。
活用イメージ
社員の「希望職種」と「不足スキル」をヒートマップで提示、5万人規模の企業でも部門横断で再配置を自動提案。離職率の低減と内部異動の活性化を実現する。
参照元:オフィシャルサイト
Gloat【イスラエル/米国】─ 社内タレント・マーケットプレイス

できること
社内タレント・マーケットプレイス。AIがプロジェクト単位で必要スキルを割り出し、従業員に“お試し配属”を提案する。
活用イメージ
「建設技能×プログラム開発力」のような組合せで現場系プロジェクトを可視化。ホワイトカラー志向の若手でも、“短期現場プロジェクト→キャリア拡張”の動線を提示できる。
参照元:オフィシャルサイト
LinkedIn Next Role Explorer【米国】─ キャリア探索ツール

できること
LinkedIn が2024年末にβ版公開した「Next Role Explorer」は、10億人規模の経歴グラフを活用し、利用者の現職スキルと近接スキルを比較。社内外の「次に挑戦できる職種」と不足スキル、推奨学習コースを1クリックで提示する。
活用イメージ
事務職志望者に「在庫管理アシスタントなら60%のスキルが共通している、追加で必要なのはExcelマクロ」と具体的ギャップを示し、選択肢を拡大させる。
参照元:オフィシャルサイト
ミスマッチを解消するためのAI活用人事の視点・姿勢
ホワイトカラー・事務職に希望が偏重してしまう構造を打破するには、「できる仕事」をデータで証明し、「やりたい仕事」の視野を広げることが欠かせません。以前からキャリアアドバイスは人事・採用担当の大切な役割でしたが、より細やかなサジェストが求められるようになっています。
例えば、EightfoldやSkyHiveのようなAIを活用することで、ジョブディスクリプション(職務記述書)にない暗黙的なスキルまで推定することができます。それまで無自覚だった「できる仕事」を可視化してあげることにつながります。またSkyHiveの「ダイナミック ジョブ& スキル タクソノミー」を活用することで、世界で今求められている仕事を細やかに把握することができ、これまで見えていなかった「やりたい仕事」を提示してあげることができるかもしれません。
今回紹介した5つのAIは、「できる仕事」を可視化するための『聞く力』と、世界で新しく生まれる「やりたい仕事」を見つけるための『観察力』のドライバーとして使うことができます。組織・人事を最適な形に導き、生産性の向上に貢献するAI活用人事の力として活用を検討してみたいサービスです。
この記事を書いた人

#AI活用人事 舟久保(ふなくぼ)
総合マーケティング会社で23年間、NBメーカーの商品開発・販促企画のアイディア創出のための調査から、クチコミマーケティングの企画・施策実行までの支援を行う。新しいモノが買われなくなるレコノミーの時代の到来を実感し、フィードフォースに加入。ID統合とCDPを活用した人間中心のマーケティングのためのSDL構築と、生活者と企業の新しい生態系「IDeconomics」の実現を目指す。加えて、人事・採用のリスキリングにも挑戦中。












