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2025/7/17

ヴィレヴァン大量閉店の裏にある「サブカル店長」不足をAI活用人事で解決できるのか? 

      今回のブログでは、日本経済新聞の記事「ヴィレヴァン大量閉店 雑貨・書籍店、3割の81店 サブカル人材追いつかず」を起点に考えてみたいと思います。

      独特の品ぞろえと雰囲気で支持されてきたヴィレッジヴァンガード(以下ヴィレヴァン)が、大規模閉店を進めるというニュースです。最盛期には約400店舗を展開していた同社が、今後3割にあたる81店を閉店する見込みだといいます。SNS上でも「昔の方が“らしかった”」と惜しむ声が多く、ファン離れが進んでいる様子もうかがえます。

      人事の立場でこの話題を眺めると、「サブカル店長」と呼ばれるような独自の専門性を持った人材を育てきれなかったことが、店舗運営に影響を与えたのではないかという仮説が浮かびます。

      「サブカル店長」の存在感が薄れた背景

      記事中で流通アナリストの中井彰人氏は「ヴィレヴァンの魅力はサブカルへの造詣が深い店長による属人的要因で成り立つ」と述べています。実際、こうした店長が作る独特の空気感が、ファンを引きつけてきたのでしょう。

      ただ、店舗網が急拡大する過程で、そうした人材を十分に確保できなかった可能性があります。また、POSシステムの導入によって売れ筋商品が優先され、各店舗が持っていた個性が少しずつ薄れていったとも考えられます。これは「属人的な強みを組織全体に広げることの難しさ」が現れた例かもしれません。特定の人に依存していた強みが、規模が大きくなるにつれて相対的に活かしにくくなったとも言えそうです。

      AI人事の視点からできることはあるのか?

      少し自由に発想を広げて、こうした課題にAIを活用できる余地があるのではないかと考えていきます。

      1. サブカル適性を見える化して採用につなげる

      ミイダスのような行動特性診断を活用すれば、「自分の興味を積極的に発信できるタイプ」や「顧客との対話を楽しめるタイプ」といった求職者の性質をデータで把握できます。書店や雑貨店での経験だけでなく、カルチャーへの関心や発信スタイルを評価軸にすることで、採用時の見極めが少し変わるかもしれません。さらに、exaBase DX(エクサウィザーズ)のように育成支援まで含むツールを活用すれば、採用後の育成計画も立てやすくなるでしょう。

      参考:ミイダス / exaBase DX

      2. 採用プロセスの効率化

      現場では「そもそも人が集まらない」という課題も大きいはずです。海外事例ですが、Paradoxというチャットボット型の採用支援サービスでは、応募受付から面接調整までを自動化しています。こうしたツールがあれば、店長や人事の負担を減らしながら、より適性を重視した選考に時間を割けるようになるかもしれません。

      参考:Paradox

      3. スキルやノウハウの共有

      もっとも重要なのは、既に現場にいる「サブカル店長」の知見を活かすことだと思います。Eightfold AI のようなスキルを抽出ツールを活用すれば、履歴書や職歴データをAIが解析し、以下のような取り組みを進めることができそうです。

      • 店長像のデータ化

        商品選定力、SNSでの発信力、接客での共感力など、活躍している店長に共通するスキル要素をモデル化する。

      • スキルギャップの可視化

        店長候補とモデルを比較し、不足しているスキル(例:「発信力はあるが、選書経験が浅い」)を明確化。

      • タレントプール活用

        Eightfold AIの推薦機能を使えば、カルチャー適性が高い人材をタレントプールから探し出すことも可能です。

      参考:Eightfold AI

      AI活用で期待できる変化 ── 個性を残す仕組みづくり

      AIの導入によって、すぐに「理想的なサブカル店長」が増えるわけではありません。ただし、

      • 適性を持つ人材を見つけやすくなる

      • 店長候補の育成が計画的に進められる

      • 成功事例のスキルが共有され、店舗間のばらつきが減る

      といった変化は期待できそうです。「感性そのもの」を再現するのは難しくても、「どんなスキルが高いパフォーマンスにつながるか」を知るだけでも、店舗力の底上げにはつながるでしょう。

      ヴィレヴァンの閉店ニュースは、「人がブランドそのもの」というビジネスにおいて、個性をどう次世代につなげるかという課題を改めて意識させます。Eightfold AIのようなツールを活用すれば、サブカル店長の「感性」をそのままコピーすることはできなくても、活躍するためのスキル要素を整理し、次の世代へ引き継ぐ仕組みを作ることは可能かもしれません。

      今回の記事は、そんな可能性を考える小さなきっかけになればと思います。

      この記事を書いた人

      #AI活用人事 舟久保(ふなくぼ)

      総合マーケティング会社で23年間、NBメーカーの商品開発・販促企画のアイディア創出のための調査から、クチコミマーケティングの企画・施策実行までの支援を行う。新しいモノが買われなくなるレコノミーの時代の到来を実感し、フィードフォースに加入。ID統合とCDPを活用した人間中心のマーケティングのためのSDL構築と、生活者と企業の新しい生態系「IDeconomics」の実現を目指す。加えて、人事・採用のリスキリングにも挑戦中。